転職活動を進めていると、あなたの即戦力を期待して、業界内の別の会社からオファーがくることがよくあります。
同業他社への転職は年収も上がりやすく、新しく仕事を覚えることも少なく、専門性も高められるので魅力的な面もありますが、実は注意しなければならない点も多いです。
最も危険なケースとして、前の会社から法的手段を取られることもありますので、特に異業種への転職よりも慎重に進めるべきです。
この記事では、私の経験をもとに、同業他社への転職がバレた時のリスクや問題の回避方法をシェアします。
アラサーくん自身、SMBC日興証券から野村證券と同業他社への転職を経験したよ。
この記事を読んだらわかること
✅同業他社への転職のメリット・デメリット
✅同業他社への転職はどうやってバレるの?
✅同業他社への転職で注意すべき競業避止義務とは?
✅同業他社への転職でトラブルを避けるコツ
同業他社への転職のメリット・デメリット
それでは、まずは改めて同業他社に転職するメリットとデメリットを整理します。
同業他社への転職によるメリット
・転職面接で有利になる
・即戦力で仕事できる
・同業のネットワークを活かせる
・専門性が深まり、人材価値が上がる
転職活動で有利になる
応募先と同じ業界の経験があると、明らかに他の応募者より一歩先に進むことができます。
採用側は、あなたの同業での実績から入社後の貢献を容易に想像できるからです。
面接官が特定の業界の経験しか持っていない場合、異なる業界からの応募者を正確に評価するのは難しいことがあります。
そのため、予想外の先入観を持たれることや、あなたの能力を過小評価・過大評価されるリスクも考えられます。
例として、私が証券業界で働いていた時にヘルスケアの会社に応募した際、面接で
「証券会社だと聞いていたので、どんなバリバリの営業マンがくるのかと期待してました。」
と言われたことがあります。
即戦力で仕事できる
同じ業界出身の転職者は、業界の知識や専門用語に既に精通しているので、入社してすぐに役立つ存在となることができます。
入社直後から会議や提案に積極的に参加し、前職の経験をもとに意見を出すことが期待されます。
また、取引先との初対面の場でも、以前の経験をアピールすることで、相手に信頼感を持たせることができます。
同業のネットワークを活かせる
前の会社で築いた関係を活かして、新しい会社に価値をもたらすことができる可能性も。
例えば、まだ取引がない企業を紹介することで、会社に新しいビジネスチャンスをもたらすことができる。
その結果、自分の価値や存在感を社内で一気に高めることが期待されます。
専門性が深まり、人材価値が上がる
同じ業界でも、各企業には独自の特色や強み・弱みがあります。
同業で異なる企業での経験を重ねることで、業界の深い知識や専門性を身につけることができます。
私は大手証券2社でキャリアを積んできましたが、そのおかげでお客様からの信頼も高まり、前の会社の経験を役立ててることができました。
また、同じ業界の中でも、日系と外資系の両方の企業で働くことで、さらに広範な視点や知見を得ることができます。
同業他社への転職によるデメリット
・人間関係の複雑化
・情報の取り扱いリスク
人間関係の複雑化
業界が同じであるため、前の会社の同僚や上司、取引先と再び仕事をする可能性が高まります。
前の会社での評価や評判、過去のできなかったプロジェクトなどの情報が、新しい会社の中で知られてしまうリスクがあります。
また前職での経験や役職によっては、新しい会社と前の会社の双方から期待や要求を受けることがあるかもしれません。
情報の取り扱いリスク
業界全体のノウハウや知識と、前の会社の秘密情報やデータは、明確に区別する必要があります。
前者は転職後も利用できることが多いですが、後者を利用することは違法や不道徳とされることが多いです。
前職で知った情報を新しい会社で利用したり、共有したりすることは、情報漏洩とみなされるリスクがあります。
これは法的な問題や業界内での信頼失墜を招く可能性があります。
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同業他社に転職したことはなぜバレるのか?
同業他社に転職する際、本当にバレてしまうのでしょうか?
私の経験から言うと、完全に秘密にするのはなかなか難しいです。
同業他社の噂は早い
業界内の噂は速いものです。 多くの企業は、競合となる他社の動きを常に監視しています。
そのため、業務の情報だけでなく、人の動きに関する噂もすぐに広がってしまいます。
「あの人が辞めた」「あの人があそこに転職した」といった情報は、驚くほど早く知れ渡ります。
「転職した○○さん、新しい会社での人間関係がうまくいってないらしい…」
このような話も、あっという間に耳に入ってきます。
同業の他社への転職は瞬時に知られることが多いので、転職活動を誰にも知られずに進めるためには、慎重に行動することが必要です。
元同僚から広まる
転職が決まると、現在の同僚に新しい勤務先をついつい伝えたくなる気持ちもわかります。
ですが、転職に関する情報は、意図的でなくてもどんどん広がってしまうことが多いです。
上司や同僚が転職先について尋ねてくることもありますが、私は「いくつかの会社で検討中」とだけ伝えるようにしています。
また、今の同僚が将来、あなたの新しい勤務先やその関連会社に移ることも考えられます。もしくは、逆に新しい勤務先の同僚が前の会社に転職することもあり得ます。
業界内での転職は珍しくないので、自分だけがその状況にあるわけではないと意識することが大切です。
SNSで見つかる
ビジネスSNSのLinkedInや名刺管理アプリのEightを利用している場合、新しい職場の情報に自分のプロフィールを更新すると、その情報が繋がっている人々に通知されます。
Facebookでもプロフィールが公開されていると、知り合いだけでなく、他のユーザーもあなたの新しい職場の情報を見ることができます。
私自身、転職の際は、すぐに知らせたい人にだけ直接連絡をし、しばらくSNSのプロフィール更新は止めています。
また、新しい職場での役職が高い場合、その企業が情報をウェブ上に公式に公開することもあるため、注意が必要です。
取引先からバレる
同業種への転職は、業界内のネットワークを活かせる利点があります。
しかし、そのつながりを通じて転職情報が知られるリスクもあるのです。引継ぎの際にクライアントに今後の転職先について報告していた場合、後任が知られてしまい、バレることもあります。
特に、新しい職場で同じ取引先と接する役職に就いた場合、その情報が前の会社に漏れることが考えられます。
同業他社への転職で注意すべき「競業避止義務」とは
「競業避止義務」という言葉、同業他社へ転職を考えているときに気になる人も多いでしょう。
競業避止義務って何?
「競業避止義務」とは入社時の契約や就業規則で、会社のデメリットとなるような競合他社に勤務しないように求められることがあります。
これを破ると、賠償金を求められたり、その行為の停止を求められることがあるということです。
この契約は、情報の漏洩などを防ぐために、前の会社にマイナスな影響を受けないようにするためのものです。
でも、私含め、同業他社に転職している人って多いですよね?
実は競業避止義務があっても、同業他社への転職が禁じられているわけではありません。
なぜかというと、日本の憲法には「職業選択の自由」が明記されています。 これは、人々が自分の職業を自由に選べるという権利を保証するものです。
つまり、会社の契約があったとしても、国の憲法で保障されているこの自由を制限することはできないのです。
要するに、競業避止義務はあくまで会社との契約の一部。
だからと言って、自分のキャリアを選ぶ自由が奪われるわけではないのです。
職業選択の自由
○ 日本国憲法(昭和21年憲法)第22条第1項においては、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されており、これは、職業選択の自由を保障しているものである。
○ この「職業選択の自由」は、自己の従事する職業を決定する自由を意味しており、これには、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち「営業の自由」も含まれるものと考えられている。
厚生労働省資料
競業避止義務はどの程度意識したらいい?
あなたが新しい仕事を探している際、同業他社への転職は法的には許可されていますが、実際にはいくつかの注意点があります。
機密情報の扱い
一般的な情報なら問題は少ないですが、特別な企業情報を知っている場合は注意が必要です。
そういった情報を新しい会社で共有すると、法的トラブルの原因となることがあります。
実際に私のいた証券会社では同業への転職で顧客情報を持ち出そうとするトラブルが散見されました。
大手企業の場合、印刷履歴やデータの複製履歴を見られていることが多いです。
現職のデータは秘密情報であるかどうかを問わずデータの持ち出した形跡を残さないことが徹底しましょう。
※ご参考)2021年5月 退職時に機密情報を持ち出したとソフトバンクが楽天モバイルと楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起
誓約書について
企業は、退職する際に誓約書の署名を求めることがあります。
この誓約書には、競業避止義務や秘密情報の取り扱いに関する項目が含まれることが多いです。
署名は必須ではありません。ですが、退社の手続きを円滑に進めたい場合、誓約書の内容について会社側との話し合いが必要となることもあります。
誓約書の法的効力はそれほど強くはないものの、署名をしてしまうと、それがあなたの意思表示とみなされる可能性があります。
転職を検討する際は、これらのポイントを心に留めて、注意深く行動しましょう。
競業避止義務は問題にならないことが多い
私自身、同業での転職をしてきましたが、退職や転職の際に、人事から競業避止義務に関する指摘は受けたことがないです。
”実際、多くの会社ではそういうこともあるよね” という感じで、受け止める企業がほとんどでしょう。
競業避止義務のことを過度に心配し、もしかして、同じ業界内の転職は難しいのかな?
と悩んでチャンスを失うより、転職のための準備に集中するのが良いでしょう。
転職でトラブルを避けるコツ
競業避止義務を考慮すると、同業他社に転職する時にトラブルを避けるコツがあります。
転職をスムーズに進めるため、次の4つのポイントを念頭に置いておきましょう。
円満に退職する
特に同業他社へ転職する場合、以前の上司や同僚との関係が将来的に再び結びつくことも考えられます。
業界のトップの人々は、業界のイベントなどで顔を合わせることが多いです。
そのため、もし関係悪化のまま退職すると、新しい職場で不都合な噂が立つかもしれません。
同じ業界でのキャリアを続けるつもりなら、円満な退職を心掛けることが賢明です。
「引継ぎは丁寧に行う」「会社の愚痴を言わない」「最終出社日までサボらない」の点を意識するとよいでしょう。
転職先の情報を言わない
転職活動の最中や転職が決まった時、新しい仕事へのワクワク感や現職からの解放を感じて、つい周りの人たちにその喜びを伝えたくなることでしょう。
ですが、退職前に転職先の情報を共有するのは避けたほうが良いです。特に同業他社への転職の場合、事前にそれが知られると余計な警戒心や疑念を持たれることがあります。
また、不必要な悪評が転職先に伝わるリスクや、同僚からの妬みや裏切られたという感情を生む可能性も考えられます。
もし、これまで重要な会議などに参加していたなら、退職を決意した後は、上司にそれらの会議への参加を控えるべきか相談すると良いでしょう。
これにより、あなたが情報を管理を徹底した人間と示すことができ、会社に良い印象を与えることができます。
転職先でのデータ共有はしない
新しい職場で前の会社の経験や知識について尋ねられることはよくあります。
特に経験豊富な方が転職すると、その知識や人脈が評価されることが多いです。
ただし、いくら尋ねられたとしても、前の会社の具体的なデータを持ち込むのはNGです。
たとえ自分で作ったエクセルデータであっても、転職先での使用は避けるべきです。なぜなら、データには作成者の情報が残る場合があり、それが原因でトラブルになる可能性があります。
もし情報を共有する場合は、口頭のみで伝えるようにしましょう。
社員の引き抜きは基本しない
転職後、前職の仲良し同僚を新しい会社に推薦したい気持ちが湧くこともありますよね。
新しい職場の文化や求めるスキルと、前の会社の同僚の能力をよく知っているので、ピッタリの人材を紹介できると感じるかもしれません。
ただ、前の会社の契約で、同僚を引き抜きすることが禁止されているかを確認しておきましょう。
もしルールに違反していなくても、前職の会社からクレームが返ってくることも考えられます。
もし、どうしても同僚を新しい会社に招く場合は、転職エージェントなどの第三者を介しての採用や、一般公募の中の一人としての採用を検討するなど、慎重な方法を選びましょう。
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まとめ
今回は、競合他社に転職する際の注意点として、
・転職先が競合企業であることがバレても大丈夫か?
・競業避止義務とは何か?
・新しい職場で気をつけたいこと など
これらを、私の経験を基に解説しました。
競合他社への転職に関しては、実は「職業選択の自由」は憲法で守られているので、安心して転職が可能です。
もちろん、競業避止義務についての懸念はありますが、重要な情報を漏らさない限り、大きなトラブルにはならないことが多いです。
この記事が皆さんのキャリアアップの参考になり、転職の不安を少しでも減らせれば幸いです!
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